日経産経新聞 ご紹介

2014年7月17日
日経産経新聞「これで勝負」にて
ウレテック工法が紹介されました。


建物の傾き 樹脂で修正

地盤沈下の対策工事を手掛けるウレテックジャパン(東京・江戸川)は傾いた建物の床下に特殊な樹脂を注入して傾きを修正する「ウレテック工法」と呼ぶ技術を磨いている。
ジャッキで建物を持ち上げるような大掛かりな工事が不要になるためこの工法は営業を継続したまま傾きを修正したい店舗の所有者等の指示を得ている。

店舗休まず施工8時間
化学反応で膨張

「ウレテック工法で建物の傾きを直せば長寿命化が可能になる」。川口太社長(49)は胸を張る。
建物の所有者は地盤沈下で建物が傾けば資産価値の下落に見舞われる。ウレテック工法がその解決策になるのだ。
この工法は2種類の特殊な樹脂を配合すると化学反応で膨張する仕組みを利用する。樹脂を床下に流し込んで、床の沈んだ部分を持ち上げ、建物の傾きを直す地中で樹脂が膨張するため、地盤が強くなる効果もある。
戸建て住宅のような小規模建築のほか商業施設、道路など施工できる範囲は幅広い。
最大の強みは店舗などの営業を継続させながら施工できることだ。数メートル間隔で床に穴を開け、樹脂を注入するが、全面的に床を壊す必要は無い。
約8時間で200~300平方メートルの工事が可能。
例えば、スーパーマーケットの場合、営業が終了してから作業を始め、翌朝の開店前に工事を終わらせることができる。
床を壊して地盤を補強した後、再び床を作り直す方法の場合、工期は約2ヶ月。その間営業が続けられないのは店舗にとって大きな痛手だ。
傾きを修正する既存技術との組み合わせも可能だ。例えば、ジャッキで床を持ち上げる工法と組み合わせ、施工品質を高めることができる。ウレテック工法は短期間で工事が済み、数ミリ単位で傾きを直せる。一方のジャッキを使う工法は床下に穴を掘る時間はかかるが、精密な高さの調整が可能。両工法を同時に使うことで精度を保ちながら工期を短くすることができる。
ウレテック工法は1970年前後にフィンランドで開発された。この技術を川口社長が知ったのは2000年ごろ。直前までコンサルタントとしてオーストラリアで活動していたが、現地の知人に路面を壊さずに、道路の段差を修繕できる技術を教えてもらい、これを日本に導入するビジネスを考えた。
2001年に福岡県で営業を始めた。
「海外からの建設技術は日本では使えないのではないか」。道路を管理する地方自治体などに飛び込み営業かけたが、反応は冷ややかだった。道路工事の用途開拓から方向転換し、住宅や店舗向けに売り込んだが、状況は好転しない。
「当時は『建築技術が優れた日本に傾いた建物なんてあり得ない』といった先入観がありこれを乗り越えるのに苦労した」と川口社長は振り返る。
最初の工事契約を取るまでに1年ほどかかり我慢の時期が続いた。

安全面でも必要

―建物の傾きを直す技術の必要性は理解される―。
チラシを配布しながら辛抱強く営業続けていると、工事を依頼してきた福岡の米倉庫のオーナーから「傾きの修正は安全面でも必要」と言われた。
倉庫内に積み上げられた思い米が何かの拍子に崩れると従業員に危険が及ぶ。事故を予防するためにも工事は必要なのだという。工場でも床の傾きがなくなれば、生産設備を設置する場所の制約がなくなり最適なレイアウトが可能になる。傾きを直す技術は「建築物が持つ本来の機能を発揮させる意味合いがある」と自信を深めていった。
大きな転機は東日本大震災だった。東北地方の工場などで不眠不休の修繕工事を続けた。
液状化現象や地盤沈下の被害は深刻で、東北地方以外の顧客からも建物の傾きを直す工事を依頼された。
最近は道路や橋などの老朽化した社会インフラを長寿命化させる課題が注目されるようになり、ウレテックジャパンも道路や橋の補修工事などの受注が増えている。「ようやく昔、オーストラリアで見たような工事が日本でも増えてきた」と川口社長は感慨深げだ。
約49兆円の国内建設市場全体から見れば住宅等の傾きを修正する工事は「ニッチ分野」(川口社長)だが、その存在感は大きくなっており「縁の下の力持ち」として日本の建築物を支えている。(諸富聡)